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柳の木の下でブランコを漕ぐ

俳優窪田正孝さんを楽しむ私の隠れ家

『東京喰種トーキョーグール』1巻を読んだ①

映画 『東京喰種トーキョーグール』

『東京喰種』1巻を読みました。先が読めないので深読みもあるかもしれないですし、あたり前のことなんかも含まれていると思いますが、とりあえず読みながら思ったことをまとめます。*1

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  • #001「悲劇」の最初のコマ、「食物連鎖の頂点とされるヒトを…“食糧”として狩る者たちが存在する…」

f:id:yanabura:20160628192737p:image *2 

まずこの一文目が示唆的。「食物連鎖の頂点にいるヒトが捕食される」はオクシモロンだけど、おそらく物語は「じゃあ "喰種" が頂点なのか? そもそも食物連鎖でいいの?(どちらかが頂点に立てばどちらかが支配される、それでいいの?)」と問うのだと思う。物語はすでに食物連鎖や弱肉強食の考えを否定しようとしているのだなきっと。

そして、この東京タワーのカット。これは窪田ファン的視点だけど、個人的には『ヒーローマニア-生活-』のタイトルバックに出てくるサーチライトの灯った高いビルを思い出します。どちらの作品も生態系・食物連鎖を表現するために似たものを描いてる。どちらも夜景だしね。夜はやはり生物としての人間にとっては危険な時間ということか。

  • #001「悲劇」の扉絵

 f:id:yanabura:20160628192752p:image*3 

これがまた面白い。三つの信号が配置されるなかで、ヒデはこちら(読者側)を、トーカは横を、リゼは体は横を向かせながら顔はこちらに向いています。これがもう1巻の登場人物たちの関係性を物語っていますね。

それぞれの方向に進む者は決して交わらないはずで、交わるとそれは大きな事故「悲劇」になってしまう。カネキとリゼの身に起こるのはまさにそのような事故です。タイトルは「悲劇」としているけれど、果たしてこの先どうなるのだろう。「悲劇」なだけでは終わらないよう物語が進むはず!

上から降ってくる本はカネキの表象。カネキを表す記号が水平方向ではなく、上から下へ、垂直方向の動きとして表現されている。

降ってくる本のなかで唯一タイトルが読めるのが『羅生門』というのも納得。改めてあらすじを確認すると、まさにこの作品そのものだ。『東京喰種トーキョーグール』は現代版『羅生門』というわけだ。

背景は平安時代飢饉や辻風(竜巻)などの天変地異が打ち続き、都は衰微していた。ある暮れ方、荒廃した羅生門の下で若い下人が途方にくれていた。下人は数日前、仕えていた主人から解雇された。生活の糧を得る術も無い彼は、いっそこのまま盗賊になろうかと思いつめるが、どうしても「勇気」が出ない。そんな折、羅生門の2階に人の気配を感じた彼は、興味を覚えて上へ昇ってみた。
楼閣の上には身寄りの無い遺体がいくつも捨てられていたが、その中に灯りが灯っている。老婆が松明を灯しながら、若い女の遺体から髪を引き抜いているのである。老婆の行為に激しい怒りを燃やした下人は刀を抜き、老婆に踊りかかった。老婆は、抜いた髪で鬘を作って売ろうとしていた、と自身の行いを説明する。それは自分が生きるための仕方の無い行いだ。この女にしたところで、生前に蛇の干物を干魚だと偽って売り歩いていた。それは、生きるために仕方が無く行った悪だ。だから自分が髪を抜いたとて、この女は許すであろうと言う。
髪を抜く老婆に正義の心から怒りを燃やしていた下人だったが、老婆の言葉を聞いて勇気が生まれる。そして老婆を組み伏せて着物をはぎ取るや「己(おれ)もそうしなければ、餓死をする体なのだ。」と言い残し、漆黒の闇の中へ消えていった。下人の行方は誰も知らない…。*4

 

カネキとリゼが同じ小説が好き、というのもヒトと "喰種" が近づいて融合することをほのめかしている。冷酷非道な連続殺人鬼の女性とその一人息子が主人公で…息子は母親の異常性を嫌悪しながらもやがて己自身にも残虐な衝動が芽生えつつあることに気付いてゆくという物語を楽しむ二人。リゼは殺人鬼の女性視点で、カネキは息子視点で作品を楽しんでいるが、1巻ではその小説の関係がそのままリゼとカネキ自身に降りかかることになる。 

 

つづく。

ということで、まだ1巻の数ページしか進んでいません(笑)ゆっくりお付き合いください。

yanabura.hatenablog.jp

*1:現在私が読んでいるのは3巻までで、その先の話の展開について全く知りません。その程度の者が書いていることを一言断っておきます。

*2:石田スイ『東京喰種トーキョーグール』1巻(デジタル版, 位置No. 4/225)東京:集英社

*3:石田スイ『東京喰種トーキョーグール』1巻(デジタル版, 位置No. 6/225)東京:集英社

*4:Wikipedia羅生門 (小説) - Wikipedia, 2016年6月28日