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柳の木の下でブランコを漕ぐ

俳優窪田正孝さんを楽しむ私の隠れ家

口元で魅せるスモーキー、窪田正孝のアクション

『HiGH & LOW』のスモーキーの演技について思っていたことを文字化してみました。*1

まずは公式さんがアップしている RUDE BOYSの Special Trailer をご覧ください。


HiGH&LOW Special Trailer ♯4 「RUDE BOYS」

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スモーキーの演技で何といっても魅力的なのは口元の表現だ。登場してすぐのお説教シーンからカメラはスモーキーの口元に注目するが、それが合図であるかのように、その後のシーンでも口元の表現が一連のアクションシーンの「静」のアクセントとになり、人物像を描く鍵としても機能している。

f:id:yanabura:20160711162005p:plain*2

アクションシーンのスモーキーはとにかく口を開けない。口の開き具合は常に最小限に保たれていて、息があがっている様子を全く見せない。閉じた口も口元の筋肉をなるべく使わないようになっているし、喋るときでさえ口はあまり開かない、動かない。

アクションシーンでは「叫んで突撃」「怒鳴りながら殴り合い」パタンがよく見られるし、実際『HiGH & LOW』の他のグループのアクションはそのパタンのものが多いなか、アクションをしているときのスモーキーのこの表情は、他のグループともRUDE BOYSの他のメンバーのそれとも大きく異なっている。

パンチや蹴りの前後でも、カメラは口を結んだまま涼しい表情で仲間たちの闘いぶりを眺めるスモーキーの表情を逃さない。時には口角がほんの少しだけ上がり、闘いを楽しんでいるかのようにも見える。この一瞬のカットの表情が、一連のアクションシーンの「静」としてアクセントになっている。上下、左右、回転と続く激しいアクションのなかで一瞬霧が晴れたかのようにゆったりと見えるのだ。そこではRUDE BOYSというグループのリーダーだという自信と余裕、自分の「家族」や街を守ることに対する使命感や決意までもが伝わってくる。

7月号の『CUT』のインタビューで、窪田くんはスモーキーの演技について次のように答えている。

 「アクションシーンが多くて、スモーキーとして、リーダーとしての凄みであったり、器の広さであったりがどこかに光ればいいなってずっと思ってやらせてもらいました。それが延長戦としてアクションに繋がっていけばいいなと。そしてアクションもやっぱりお芝居の一部なんですよね。パルクールを使った闘い方にもRUDE BOYSらしさというのが表れていると思います。無名街で闘う時は特に、自分たちの縄張りでの闘いなので、すべてを知り尽くしている余裕を常に持つようにしてましたね。アクションになるとどうしても顔がこう、一生懸命になってしまったりするんですけど、そのシーンごとのいい塩梅でやるように意識してました(太字は著者による)*3

 

やはり意識的に演じていたのだなと知って、改めて痺れてしまう。アクションシーンだからといって「動き」にばかり目を向けず、演じる役を想像したうえで「動かさない」部分についても意識している。そこまで考えて演じているのかというだけでも感心してしまうが、実際に思ったように演じられるというのがすごい。理屈ではわかっていてもあれだけのアクションを涼しい顔で演じるのは難しいのではないかと思う。(運動不足の私には無理。)

「アクションもお芝居の一部」と言うように、スモーキーが見せるアクションは窪田くんが演じている他の役とも違う。(アクションとは少し違うかもしれないが)『ケータイ捜査官7』の網島ケイタは泣いたり叫んだりしながら必死な姿を見せてくれるし、『ヒーローマニア-生活-』の土志田の(後半の)アクションシーンでは、口を大きく開けたり、歯を食いしばったりする表情を見せて、アクションを通じてそれぞれのキャラクターを演じ分けている。スモーキーの場合にも同じように「窪田正孝のアクション」ではなく「スモーキーのアクション」になっているのだ。

さらに、窪田くんのアクションシーンを見ていて感じるのは、動きの美しさとリアルさ。パンチや蹴りといった攻撃そのものの美しさも勿論だけれど、スモーキーのように強い役を演じるときには、攻撃した後の体が全くブレない。軸がしっかりとしているのか、動いた後にもとの姿勢にしっかり戻るというか、体の動きに体の軸が振り回されていないように見える。

反対に、やられる側を演じるときには軸がぐらぐらとする。パンチや蹴りを受ける場合には本当に当たっているかのように全く軸がなくなって、その衝撃に徹底的に振り回される。映画『MARS〜ただ、君を愛してる〜』でも藤ヶ谷くんに見事に突き飛ばされていた。スモーキーが血を吐くシーンでも、あれほど優勢に闘っていた様子を見ていただけに、その後の意表をつくような不穏な動きに何事かとギョッとしてしまう。とてもリアルだ。 

アクションには全く詳しくないし、正直そんなに興味もなかったけれど、「アクションもお芝居の一部」という視点で見るとなるほど奥が深いと考えさせられることが多い。アクションシーンを楽しむ際のひとつの道具を窪田くんからいただいたような気分だ。

*1:映画『HiGH & LOW THE MOVIE』も完成披露試写会ですでに見ているのですが、この記事はドラマのシーズン1についてがメインです。早乙女くんとのアクションシーンは素晴らしかったなあ。

*2:©『HiGH&LOW』製作委員会、『HiGH & LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D〜』シーズン1 エピソード6 より引用

*3:窪田正孝インタビュー」『CUT』7月号(p. 45)より引用