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柳の木の下でブランコを漕ぐ

俳優窪田正孝さんを楽しむ私の隠れ家

映画『東京喰種トーキョーグール』の萩原健太郎監督ってどんな方?

映画『東京喰種トーキョーグール』(以下『東京喰種』)の撮影がスタートしています。

すでに目撃情報があるようですが、この暑い時期に大変な撮影になるでしょう。良い作品に仕上がるよう、撮影が順調に進むことを祈っています。

 ***

この作品の監督を務められるは萩原健太郎さん。これまで主にCMや短編映画を撮っている方で、長編作品は『東京喰種』が初めてということになるようです。私は『東京喰種』のニュースをきっかけにお名前をはじめて知ったのですが、下のサイトで萩原監督のこれまでの作品が見られるので、さっそく見てみました。*1

THE DIRECTORS GUILD | 萩原 健太郎

このサイトでは35作品が紹介されていて、萩原監督のほとんどの作品が見られるのではないかと思います。多くはCMで、他にも在日ファンクや乃木坂46のミュージックビデオなども制作されています。*2 ちなみに今年は窪田くんが起用された資生堂スノービューティーのショートムービーですが、昨年のショートムービーは萩原健太郎さんが監督をしていました(主演は二階堂ふみ星野源)。


ショートムービー『資生堂マキアージュ Snow Beauty』本編映像

萩原監督作品を見てみて、私が萩原監督の特徴が表れているのかなと思った作品はつぎのCMと短編映画です。これらの作品は萩原監督が脚本も担当されているようで、そのほとんどが家族や友人、恋人など人間関係に焦点を当てています。(家族モノが弱い方は要注意!)

  •  フレンドシッププロジェクト2015 第一話, Client SEIKO
  •  フレンドシッププロジェクト2015 第二話, Client Microsoft
  •  フレンドシッププロジェクト2015 第三話, Client BANDAI  
  •  フレンドシッププロジェクト2014 第一話, Client JAL
  •  フレンドシッププロジェクト2014 第二話, Client みつばち保険
  •  フレンドシッププロジェクト2014 第三話, Client 龍角散
  •  レイコップ『夫の返信』, Client レイコップ

  •  レイコップ『息子の部屋』, Client レイコップ

  • 短編映画 『café イーハトーブ −いわての くにの ものがたり−』(「いわての県産品販売促進事業」のプロモーションムービー)

    www.youtube.com

  • 短編映画 "Super Star"

 

これらの作品を見てみると、どの作品も正直なところ『東京喰種』とは全くジャンルが異なるのですが、なるほど、萩原監督が大切にされているものと『東京喰種』が描いているものには共通点があるように感じました。二つの点からまとめてみたいと思います(今回の記事では一つ目だけ扱います)。

 

f:id:yanabura:20160727211744p:plain*3

 

多面的な出来事描写、多面的なキャラクター描写

 

萩原監督は映画作りにおいてキャラクターを掘り下げてどのように多面的に見せるか…という事が重要だと語る。「好きな映画を思い返してみると、どれもキャラクターが魅力的ですよね。観る人によって主人公の見え方が違うはずですから、より客観的に色んな面を見せる事を考えています」*4

 

ある出来事は人によってそれぞれに解釈され受け止められるし、ある人物は見る人によって人物像が変わる。当たり前のように思われることだが、萩原監督の作品はそのような事実を映像を通して私たちに体験させる。

まず、どの作品にも共通するのは、ある出来事を別々の人物の視点から描くこと、それによって出来事を多面的に描写することだ。萩原監督作品は同じ場所・時間を共有する(あるいは共有していた)人物たちがそれぞれに感じ受け止めている様を丁寧に描く。

例えば、『フレンドシッププロジェクト2015』は「東京で写真がやりたい」と言って上京を決断する息子の物語を、息子(第一話)、父親(第二話)、母親(第三話)のそれぞれの視点から描いている。一連の出来事があるひとりの人物(例えば息子)の視点からのみ描かれるのではなく、父親や母親の視点をバランスよく取り入れ、かつそれぞれの視点に共感できるように物語を構成している。観客は同じ出来事を別の視点から見ることによって、それまで見ていた世界はひとつの見方に過ぎなかったのだと自覚させられ、出来事の多面的な姿に出会うことができるのだ。

短編映画『スーパースター』は大好きな韓流スターのファンミーティングのためソウルにやってきたのに寝坊してしまった追っかけ女性(櫻井淳子)の物語だ。日本語と韓国語で進行するため、韓国語がわからない者にとっては目に入る文字や聞こえてくる音声が刺激としては目や耳に入ってきたとしても、それが一体何を表すのかは理解できないという仕掛けが施されている。物語の途中で主人公が大きな挫折を味わうのだが、その前と後とではソウルの街並みの写り方ががらりと変わる。それまでせかせかと忙しなく映っていたソウルの街が、ラストではソウルの夜景がゆったりと美しく見えるのだ。

『東京喰種』では "人間" と "喰種" という二つの立場が登場し、それぞれの正しさ・正義が衝突する。"人間" にとって美味しそうなご馳走が "喰種" にとっては吐き気を起こさせるものになる。そのような相反する世界の見方を映像を通して提示し、「何が正しいのだろう?」と観客に突きつける。それは萩原監督が得意とする演出なのではないかと思う。主人公のカネキが "人間" と "喰種" 両者の正義を理解しようとして苦しむように、映像を通して観客にもそのような体験をさせることができるかが鍵になりそうだ。

 

つづく

 

*1:作品を見るにはメールで申請をして、パスワードを教えてもらう必要があります。一般人の私でもパスワードを送ってもらえました。

*2:2014年の萩原健太郎監督のミュージックドラマ『FAKE』はこのサイトからは見られず、UULAという動画配信サイトで視聴可能です。私はまだ未視聴。

*3:©萩原健太郎監督『café イーハトーブ −いわての くにの ものがたり−』より

*4:監督 萩原健太郎, 2016年7月25日アクセス